HPNを注文するとき、一番悩むのがスイングアーム。いや、きっと知らないと適当に選ぶけど、まじめにその特性を考えれば考えるほど悩むはず。今後の購入者(もうほとんどいないだろうけど)の参考になるように、自分で乗ったり、人に聞いたりした話をまとめててみよう。
まず、HPNのスイングアームは大きく分けて4種類ある。いや、5種類か?
■モノアーム
80G/Sのスイングアームを途中でぶった切って100mm延長したもの。さらに間に補強を入れてねじり剛性も上がっている。80G/Sは100GSのパラレバーに対して50mmほど短いため、ホイールベースが短くなり小回りも効くが直進安定性が悪いらしい。HPNのモノレバーはそれを改善+ホイールトラべルの拡大のために伸ばしていると思われる。モノアームはテールアップするが、ダイレクトにトラクションを感じやすいらしい。また、100GSなどのパラレバーより軽量のため、軽快感が味わえるとのこと。モノアームはこの軽快感が最大の魅力でしょう。ただし、リアブレーキはドラムに限定される。G/Sと同様に18インチのタイヤも履ける。
■ツインアーム
ガストンライエがパリダカで活躍したマシンに付いていたのがコレ。モノアームに左側のパイプも追加して両持ちタイプに改造してある。また、サスもツインショックになり、当然、延長もしてある。おそらくはモノアームの剛性不足を補うために作ったと思われる。パリダカを走るためには必要だったのだろう。写真だとジャンプとかもしてるので、かなり丈夫のようだ。サス本体は途轍も無く長い。リアブレーキはドラム。重量はショックも含め、かなり重くなるのでは?でも、パリダカレプリカを作るならツインアームは必須ですよ。カッコよさは抜群です。
■1100系パラレバー
HPNと言えば、これを思い出す人が多いかと思う。一番、日本に入荷されているのもこの仕様だ。90年代に入って、HPNは1100系パラレバーを流用することを思い付いたのだろう。エアヘッドGS本体は既に進化が止まってたのにHPNはその追求に余念がない。ツインアームより軽量で剛性のあるスイングアームである。基本、HPNはホールトラベルを稼ぐためにスイングアームを延長してる訳で、そうなるとモノアームやツインアームはサス自体の長さががとんでもなく長くなる。あれじゃ剛性は出せないし、サスもしなって動きが悪くなるもんね。また、初めてリアにディスクブレーキを採用できた仕様でもある。モノアームより重いため多少リアバタツキ感があるが、100GSのパラレバーに比べても、リア回りの剛性はかなり向上しているのがわかる。気になる点は、サスの搭載位置がほとんど垂直に近いため、トラクションを得にくいデメンジョンなってしまうこと。あと、これだけギリギリ18インチタイヤが履けないのは痛い。
■HPN製パラレバー
1100系パラレバーの不満点を改良したものがこの仕様。90年代のパリダカマシンR900RRに採用されたものとほぼ同じパラレバーである。他のBMWマシンのものを流用するのを止めて完全にHPNオリジナルになった。極力純正部品を流用する方針のHPNには珍しい。当時、HPN本社にはこいつの試作品がゴロゴロ落ちていたと言う試行錯誤の賜物!? 1100系より50mmほど延長されているおかげで18インチタイヤも余裕で履ける。剛性も1100系パラレバーよりさらに上がっているように感じる。気になってたサスの配置も前傾斜に改善されているし、サスの本体もショートになっている。ただし、おかげでホイールベースがえらく長くなっているし、やっぱりちょっと重いのでリアがバタつくかな?あと、流用品ではなくスペシャル品なので、値段がかなり高いと思われ。
■100GSパラレバー
そういえば、これも注文はできるはず。
HPNのスイングアームはその車輛のキャラクターを決めると言っても過言ではない。軽量なマシンに仕上げたいならモノアームがいいし、クラシックにガストンレプリカならツインアーム。エアヘッド+イマドキな車体剛性やコントロール性がほしいなら1100系パラレバー。ラリーユースなら妥協なくHPN製パラレバーってところでしょうか?
でも、きっと自分のイメージしているマシンキャラクターがあるはず。その中でスタイルも重要ですね。だからビッグタンクにモノレバーを組み合わせても良いし、HPN製パラレバーを使うけど、他のパーツはスリムに仕上げてもおもしろい。
自分が実際買ってみて、さらに乗せてもらったり、人から話を聞いたりして、次に買うならこうしてみたいとかついつい思ってしまう(もう2度と買えないのに)。自分はつい王道に仕上げてしまったけど、ちょっとひねった渋い仕様もおもしろいんじゃないかな?やっぱりせっかくオーダー出来るんだから自分だけの仕様にしたいところです。